矯正治療
Orthodontics
ただきれいにするだけじゃない「矯正治療の意義」について
歯科矯正は、歯を正しい位置に整えて、美しい歯列にする治療です。
しかし見た目のきれいさだけを追求するのが、矯正治療の本質ではありません。
歯に求められる「噛む」という機能を、治療によって回復させることが重要です。「よく噛めないけれど見た目だけきれい」という歯では、顎関節や消化器に負担をかけ、全身のバランスまで狂ってしまいます。
逆に、歯に違和感はあるものの「ほんのちょっとのズレだから、気にしないでおこう」という方はいらっしゃいませんか?
そのちょっとしたズレが、もしかしたら頭痛や肩こりなど、口元以外の場所の不調につながっている可能性もあります。
正しい歯と顎の位置でしっかり噛めることは、全身の健康維持にとって極めて重要なことです。矯正治療の意義について改めて考えていただくとともに、何か少しでも気になることがあれば、どんな些細なことでも遠慮なくご相談ください。
矯正治療は歯をゆっくりと正しい位置に誘導するため、年単位で時間のかかる治療となります。
患者さまにはその間、歯磨きなどのケアをいつも以上に徹底していただきますし、矯正器具をつけることによる違和感など、負担を覚えることもあると思います。そうした覚悟のうえで、患者さまが矯正治療に踏み切られたお気持ちに対し、当院では持てる技術すべてでお応えしたいと考えています。
矯正歯科担当医 山内 雅人
小児矯正
子どもの矯正歯科治療にはこんなメリットが
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メリット01
顎の成長を利用して治療できる
子どもの矯正治療では、永久歯がしっかりと美しく生え揃うよう、必要なスペースを確保する治療を行ないます。体の成長を利用して顎骨の発達を促す、大人になってからではできない治療です。
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メリット02
抜歯の必要がなくなることも
永久歯が生え揃うための準備から治療を始めるので、状態によっては歯を抜くことなく、歯列を整えるだけの矯正で済む場合があります。歯は一度抜いてしまうと元には戻らないので、できるだけ抜くことなく治療するのがベストです。
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メリット03
思春期をよい歯並びで迎えられる
思春期は自分の容姿が気になる年ころです。噛み合わせの機能も大切ですが、子どものころに矯正治療を行なうことによって、見た目の美しい口元で思春期を過ごせることは、自己肯定感にもつながるメリットだといえます。
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メリット04
将来の虫歯予防につながる
よくない歯並びのままでいると、食べ物のカスが歯の隙間に引っ掛かりやすかったり、歯磨きのしづらかったりという、虫歯のリスクが高い状態が続きます。矯正治療をすると口内環境を改善でき、虫歯予防への意識も高く持てます。
小児矯正の流れ
子どもの矯正治療は、初期治療(骨格矯正)と本格治療(歯列矯正)の二段階で行なうのが一般的です。
初期治療(骨格矯正)は、乳歯から永久歯に歯が生え変わる時期に行ないます。
本格治療(歯列矯正)は、乳歯が抜け永久歯が生え揃った10歳ころ~成人までの治療となります。
まずはしっかりと検査をして、治療の開始時期を検討することが大切です。状態によっては経過をしばらく見守ってから、矯正治療に入る場合もあります。
早期の対応で簡単な治療のみで済むケースや、大人になってから矯正した方がよいということもあるので、まずは乳歯の段階で相談してみることをおすすめします。
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初期治療(骨格矯正)
初期治療(骨格矯正)は、子どもの体の発達に合わせて顎の大きさを調整し、上下の顎のズレを解消して、正常な発育ラインにのせることを目的としています。成長が活発な子どもだからこそ可能な矯正治療です。
この初期治療を行なうことで、歯がきれいに生え揃って、本格的な歯列矯正治療の必要が無くなる場合もあります。 -
本格治療(歯列矯正)
本格治療(歯列矯正)は、永久歯が生え揃ったころから行なう治療です。矯正器具を装着して、歯並びを正常な位置に整えて、しっかりと噛めるような噛み合わせに導きます。成人矯正と変わらない治療ですが、初期治療(骨格矯正)で骨格のズレを修正し、永久歯が生えるスペースを確保しておくと、本格治療の期間を短縮できる場合もあります。
成人矯正
見た目以外の理由がこんなに「矯正治療をした方がいいワケ」
「見た目が気になるから歯並びを治したい」と感じたことが、ほとんどの方にとって矯正治療に関心を抱いたきっかけになっていると思います。
歯並びの見た目はもちろん大切なことです。しかしもっとも大切にしなくてはならないことは「正しい位置でしっかり噛める」という歯の機能です。
よい歯並び・噛み合わせのために、矯正治療を行なった方がよい理由を、ポイントごとに見ていきましょう。
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ポイント01
<食事の効率>
食べ物を歯でしっかり咀嚼していないと、胃腸などの消化機能に負担がかかります。
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ポイント02
<虫歯や歯周病といった口内の病気>
歯並びが悪いと、食べ物が口の中に残りやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
よく噛むことができないと、口内を清浄に保つ働きのある唾液も分泌されにくくなります。
唾液が出ないことで口内が乾燥すると、虫歯・歯周病菌にとって居心地のよい環境になってしまいます。 -
ポイント03
<発音への影響>
受け口や開咬の場合、サ行、タ行、ラ行の発音が難しいことがあります。
息が漏れるような発音になる場合もあります。 -
ポイント04
<口元や相貌への影響>
悪い歯並びは口の中だけでなく、フェイスラインの歪みなど口元や顔全体の相貌にも影響することがあります。
顎がズレてしまっていることで、口を開けたときに痛みを感じたり、大きく開けられなかったりする顎関節症になる危険性もあります。 -
ポイント05
<心理的な問題>
口元にコンプレックスを抱えることで、「口を大きく開けて笑うことがこわい」「人前で話をしたくない」といった悩みを持つ方も多いです。
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ポイント06
<全身の健康>
噛み合わせの悪さが全身のバランスを狂わせ、倦怠感、偏頭痛、肩こり、腰痛などといった全身のさまざまな場所の悩みに影響を及ぼすことがあります。
治療メニュー
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目立たない矯正装置「セラミック製ブラケット」
一般的な矯正治療で歯の表面に取り付けるブラケットという装置は、金属色なので口を開いた時に見た目が気になるという方も多いです。
当院ではこうしたお悩みの解消のため、金属の装置ではなく、歯列に自然に溶け込む歯と同色のセラミック製のブラケットを使用し、目立たずに矯正治療を行なえるよう配慮しています。 -
外から見えにくい舌側矯正
接客業などをしていて、できるだけ目立たないよう治療したいというケースに対応できるのが「舌側矯正」です。
矯正装置を舌側に取り付けると、外からはほとんど見えないので、矯正していることがわかりません。慣れるまで発音に違和感を覚えることもありますが、舌側は唾液が循環するので虫歯になりにくいというメリットもあります。
【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。
- あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。